驛 の 蕎 麦 屋 の 分 類




 一般的には、驛構内で營業する蕎麦屋全てを指してを驛蕎麦と云ふが、驛付近の蕎麦屋も含めてさう呼ぶ事もある。ところが初めに斷つた通り、小生はプラツトホーム上にある蕎麦屋だけを賞味する事にしてゐる。さう云ふ訳で、驛にあつても賞味對象にならない「驛蕎麦」がある。この部分を讀者諸君にはつきりと理解して貰はねばなるまい。各論の前提として驛蕎麦の存在形態を規定してしまふに如くは無いだらう。

 尚、小驛蕎麦論へそれなりの威厳を與へる爲、分類にあたつて敢へて官僚的名称を採用した。勿論この呼称は本サイト内に於いゐてのみ有效である。とは云へ諸君がこれを應用し、日常に流用するのは勝手である。



第一種驛蕎麦店舗

 列車が運んで來る風に吹かれて蕎麦を喰ふ。手の届くところに旅があり、目の前を樣々な人生が通り過ぎて行く。その豐かな詩情が旅人の食欲を誘ふ。
プラツトホーム上に構へられた店舗をかう名付けやう。小生は店舗の形状に拠つて之を更に細分化するが、、其れは別の詳論に譲る事とする。





第二種驛蕎麦店舗

 改札内でプラツトホーム以外の場所に存在する蕎麦屋をこの分類に加へる。@ 跨線橋上型 A 地下通路型 B 立體交差路線の中層階型があらう。不思議と階段の附近に立地する事が多い。旅客と驛従業員が主たる客である点で第一種に近い。しかし旅情と云ふ点が格段に劣るので差別化した。





第三種驛蕎麦店舗

 鐵道會社へ権利金を支払つてゐるならば全て驛蕎麦と認めなければ成らない。改札外で營業する驛構内の店舗を第三種に分類したい。驛の本屋(ホンオク:驛の主建物)にあるか無いかを基準として、@ 本丸型 と A 二の丸型 に區分して置かう。いづれにしても改札を入らないで喰へるから、特別な氣持ちがしない。さうは云つても、この蕎麦を喰ふのは殆どが驛に用事のある人だらう。





驛傍(エキソバ)

 驛の附近に立地するオフステーシヨン型立喰ひ蕎麦店舗を「驛傍(エキソバ)」と呼び、「驛蕎麦」とは區別する。加へて、諸君は街中の「通常立ち喰ひ蕎麦」とも一線を畫した捉へ方をすべきである。即ちこの種の店舗は、驛に面してゐれば「驛傍」であり、さうで無ければ只の立喰ひ蕎麦である。當然、「驛蕎麦」と比較して驛に直接用事が無い人間の利用比率が高い。




 また、複數の上記特徴を重複して具有する店舗形態の場合は、上位種別に編入しても構はない事としやう。例えば、ホーム側と改札内待合室側の兩方にカウンターを持つ樣な店舗は、第一種でもあり第三種でもあるが、上位をとつて第一種に編入する事としたい。