口 上

 我々一般大衆にとつて蕎麦は親しみある喰ひ物である。氣輕に、氣取らず、然も安價に空腹を満たす点、正に國民食と云つても差支へ無いのでは或まいか。
又、小生は驛のプラツトホームで風に吹かれて喰ふ蕎麦に、座つて戴く蕎麦とは違つた興趣を覺える。然して小生は驛の蕎麦に無償の關心を寄せる事となつた。

店主敬白 





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驛のプラツトホーム上、又は同一平面にある蕎麦屋の出す蕎麦を賞味する事を主眼としてゐる。
一定の賞味法則を自己に課し、その獨斷により「甲」「乙」「丙」の三段階を用ゐて評價を試みる。又、驛にあつても此の外の場所にある蕎麦屋は構ひ切れないので味見しない事とした。




◆ 驛 蕎 麦 百 景
    新着蕎麦

(06月03日)

◆ 驛 蕎 麦 ソ シ オ ロ ヂ ー

(03月19日)

◆ 驛 蕎 麦 檢 定
    得點傾向掲示板

(04月04日)

◆ 人 氣 驛 蕎 麦 一 覧

(07月09日)

◆ 小 生 へ の 激 励

(07月15日)



= あ の 時 こ の 蕎 麦 =

東北本線郡山驛

天夫羅蕎麦 320圓。


郡山驛ホームには三つの業者が店を出してゐる。最も古めかしい佇まひの東北軒で野菜たつぷりの天夫羅蕎麦を賞味した。正體不明の薄味つゆの丼に、妙に均質な蕎麦色の麺が入つてゐる。
薄暗い蛍光燈の下で喰つてゐると、何かに騙されたやうな氣がした。


めんつゆ総合


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釧網本線網走驛

天夫羅蕎麦 370圓。


車窗右手に流氷を眺め乍ら、ヂーゼルの騷音が喧しい網走驛に到着した。そして、此の寒風が吹き曝すプラツトホームにも蕎麦屋があつた。
やや蕎麦粉を感じさせる麺を一氣に頬張ると忽ち體が温まる。暫くすると貧相な天夫羅が褐色の甘味つゆに崩れはじめた。丸で流氷が溶けて行くやうな風情に春のおとなひを懸けて一句捻り出すやうな一杯である。


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    平成九年六月十九日開店
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