驛 蕎 麦 ソ シ オ ロ ヂ ー


 蕎麦といふ喰ひ物は、全國的に標準化されてゐるやうに見えるが實際はさうでもない。代表的な違ひは關西と關東でのつゆの色や出汁の違ひである。また細かい處では藥味が異なつたり、暖簾が「そば うどん」なのか「うどん そば」なのかでも地域變化がある。
 驛の蕎麦は、最も安いコストで作られた庶民の喰ひ物である。我々は地域の蕎麦に對する認識を通じて、日本といふ島国の底邊に横たわる文化人類を學ぶ事が出來るのである。そして、驛蕎麦への社會學的アプローチは、愛好者にとつて新鮮な驚きの宝庫でもあるだらう。